ネパール人のキャリア教育

キャリア教育

――「キャリア」という言葉を使わずに、人生を選び続ける人たち

「キャリア教育」という言葉は、日本では当たり前になりつつあります。

一方で、世界に目を向けると、そもそも“キャリア教育”という概念が存在しない国も多くあります。

その代表例のひとつが、ネパールです。

本記事では、ネパール人の働き方や価値観を通じて、

「キャリア教育とは何か?」をあらためて考えてみたいと思います。

ネパールでは「キャリア教育」という考え方がない

ネパールでは、日本のように

将来の職業を見据えて進路を選ぶ 自己実現や適職を探す といったキャリア教育の体系的な概念はほとんどありません。

多くの人にとって仕事は、

「生きるため」「家族を支えるため」に必要なもの

という非常に実務的・現実的な位置づけです。

そのため、

やりたい仕事 向いている仕事

よりも、

収入が得られるか 家族の役に立つか

が、仕事選択の最優先事項になります。

農業が約80%を占める社会構造と、海外志向

ネパールは農業従事者が約80%を占める国です。

しかし、気候変動やインフラ不足、産業構造の限界から、将来の見通しが立ちにくいのが現実です。

そのため、多くの若者が自然とこう考えます。

「この国だけで生きていくのは難しい」

「海外で働く選択肢を持ちたい」

これは“夢”というより、合理的な人生戦略です。

語学習得能力が高く、英語に強いネパール人

ネパール人の大きな特徴のひとつが、語学への適応力の高さです。

ネパール語 ヒンディー語 英語

複数言語に日常的に触れて育つ環境のため、

英語を実用レベルで使える人が多いのも特徴です。

これは「語学が得意」というより、

**「環境に合わせて学ぶ力が高い」**と言った方が近いかもしれません。

海外就労を前提にした人生設計が、

自然と語学力を育てているとも言えます。

「日本人より偉くなれない」という意識

一方で、日本で働くネパール人の中には、

こんな意識を持つ人も少なくありません。

「日本人より上の立場にはなれない」

「管理職や意思決定の立場は難しい」

これは個人の能力の問題ではなく、

在留資格 言語の壁 組織文化 といった構造的な要因から生まれる認識です。

その結果、一定の経験を積んだ後に、

自国に戻って起業する 日本で得たスキルを母国で活かす

という選択をする人も多く見られます。

ネパール人は「キャリア教育がなくてもキャリアを選んでいる」

興味深いのは、ネパール人は

キャリア教育を受けていなくても、キャリアを選び続けているという点です。

家族の状況 国の経済 世界の労働市場

これらを冷静に見ながら、

「どこで、どう働くか」を柔軟に変えていく。

それは、日本で語られる

「自己実現型キャリア」とは違うかもしれませんが、

非常に実践的で、現実に根ざしたキャリア形成だと言えます。

外国人のキャリア教育から、日本が学べること

ネパール人の働き方を見ていると、

日本のキャリア教育に問いが生まれます。

キャリアは「夢」だけで語ってよいのか 家族や社会との関係性を、どれだけ考慮しているか 環境変化に応じて“選び直す力”を育てているか

キャリア教育とは、

「なりたい職業を決めること」ではなく、

人生を状況に応じて設計し直す力を育てることなのかもしれません。

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